【部下を持つ方へ】「無意識に」パワハラしていませんか?

2020年4月23日

無意識のパワハラ_タイトル

こんにちは、てぃってぃ(嫁)の夫です。

近年、以前より「○○ハラスメント」という問題が注視されるようになりました。パワハラ、セクハラ、モラハラ、マタハラ、などなど色々ありますが、どれも看過できない問題です。特に会社で部下をつけて働いている人間は、パワハラ(パワーハラスメント)について、気を付けなければなりません。

私も部下をつけて仕事をしていまして、以前から研修などでパワハラについての講習は受けていましたが、半年ほど前、私もパワハラに対する考え方がガラッと変わる出来事がありまして、それをお伝えしたく、記事にしました。

本記事では、立場を利用した直接的な言葉、接し方の暴力ではなく、「こういうパワハラもあるんだ」ということをお伝えしたいと思います。部下をもって作業をしている方は是非!お読みください。


「パワハラ」の公式な定義とは?

無意識のパワハラ_定義

厚生労働省による「パワーハラスメントの定義について」によると、下表の「3要素にて構成される」と定義されています。

 要素意味
1優越的な関係に基づいて行われること○ 当該行為を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性(※1)が高い関係に基づいて行われること
2業務の適正な範囲を超えて行われること○ 社会通念に照らし、当該行為が明らかに業務上の必要性がない、又はその態様が相当でないものであること
3身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること○ 当該行為を受けた者が身体的若しくは精神的に圧力を加えられ負担と感じること、又は当該行為により当該行為を受けた者の職場環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること
○ 「身体的若しくは精神的な苦痛を与える」又は「就業環境を害する」の判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」を基準とする

(※1)蓋然性:がいぜんせい。その事柄が実際に起こるか否か、真であるか否かの、確実性の度合。

・・・めちゃくちゃ難しいですね。記事を書いていて、初めて「蓋然性」という言葉あることを知りました。しかし、上表と厚生労働省の資料を手に取り、もっと庶民的な言葉に言い換えると、次の様になると解釈しました。


庶民でも分かるパワハラ実例イメージ

① 立場を利用した行為

立場を利用して断ることのできない要求をした場合です。一番皆さんがイメージされているパワハラだと思います。

【例】コーヒーを無理やり買いに行かせる

上司「○○くん、コーヒーを買ってきて!」

部下「今忙しいので、後でもいいですか!すみません。」

上司「上長命令だ。従わないと給料下げるぞ」

典型的なパワハラですね。コーヒーのおつかいをお願いするところまではよくある話だと思いますが、「立場を利用して強要」すると完全なるパワハラです。私も近い経験をしたことが何度もあります(従わないとクビにするぞと言われたり)。

勿論、苦痛で耐えられない場合は断っていいし、断ることによるストレスの方が大きい場合は、その場は仕方なく受け入れて、後で信頼できる上の人、労働組合、総務等に相談してみてくださいね。一番自分にストレスが無いように動くのがベストです。

ただし、若干話がそれますが、ここで「もう!忙しいけど行ってきます!ブルーマウンテンでいいっすか!!」みたいに言って、パパッと買える人の方が、(場合にもよるけど)上から好かれて出世するんですよね。出世を考える場合は、ここは「パワハラだ!」って言わずに堪えるのもあり(上級者向け)です。

② 業務上必要のない行為をさせる

明らかに業務上必要ではないだろうということをさせる場合です。皆さんもこれを聞いて色々思うところがあるのではないでしょうか。私も山ほどあります。

【例】自己紹介で一発芸をさせられる

上司「○○くん、自己紹介でみんなをあっと笑わす芸を考えておいて!」

部下「は、はい…」

ちょっと難しいところですが、今の時代はパワハラに抵触します。特に体育会系の部活や仕事をやってきた人は、「えっ?」ってなると思いますが、一発芸って業務上必要でしょうか?どう考えても無いですよね。

書いていいのか微妙だけど、私の会社も新入社員歓迎会で一発芸をやらないといけません。私は大学生のボート部時代では「全裸一発芸」というのを毎年やらされていた(今考えればヤバイ部活ですね)ので耐性があるのですが、会社同期の皆は尋常ではないぐらい嫌がっていました。定義で考えれば明らかに業務上必要がないのでパワハラに抵触するだろうと思います。

ただし、こちらも若干話がそれますが、この事案は別にパワハラしたいのではなく、職場の親睦・交流を深めたいという目的だと思うんですよね。そう思って楽しくこなせることができたら理想ではあります。

③ 身体的・精神的苦痛を与える

一番むずかしいのがこのケースだと思います。

身体的苦痛はどストレートに言うと物理的嫌がらせ・暴力ですね。私も1回座ろうとしたらイスを引かれて床にべちーんってなったり、肩をしょっちゅう叩いてくる上司がいました(今は叩かれたら出ているお腹を逆に叩き返す仲になったのですが)。

そして精神的苦痛がとても気づきにくいです。なぜなら自分がどう思っていようが「相手が苦痛に感じた」場合、パワハラに抵触するとみなされる可能性があるからです。

私が本記事で伝えたいのもこのケースです。私は「そんなつもりはなかった」が、部下が「苦痛に感じてしまった」実際の事例をお伝えします。


私の「パワハラ感」を変えたエピソード

無意識のパワハラ_エピソード

ここからは実際に、私が部下に対し、パワハラに近いことを無意識のうちにしてしまっていた体験談を、ストーリー形式に記載します。当然反省も込めて、記事にしています。私の体験談が、どなたか1人にでも響くと良いな。


1. 部署異動で部下にK君がつく

4月の部署異動に伴い、私の下にK君がつきました。K君については、このように聞かされていました。

  • 頭はいいが、かたい
  • すごくまじめ
  • 責任感は強い
  • 一度休職している

一度休職していると聞かされていたので、 「強めに言ってはいけない」と肝に命じました。私自身、過去に何度か「こわい」と言われたことがあり、自分でも自覚していたので、常に優しく、ミスをしても怒らないようにしていました。


2. K君はそこそこ優秀だと気づき・・・

K君が部下になってから、半年ほど一緒に仕事しました。半年も仕事をすると、彼の良い所も悪いところもよく分かります。

良い点は、凄くまじめなこと。彼は言われたことは愚直に守ろうとする。ものを作る技術力も高く、プログラマーとして評価するには申し分ない。

悪い点は、逆に柔軟性がなく、言われたこと以上は考えないこと。

私は、気が付けば、「彼の弱点(悪い点)を直せばもっと上に上がれるな」と思い、そこを直すよう重点的に指導するようにしていました。

「お客様から出てきた仕様書は、まず【お客さんがやりたい事】を考えなさい、それに合っていないと思われる仕様があれば、こちらから仕様を提案出来る様になるんやで。」

とか。

「誰かが書いた設計書も、そのまま作るのではなく、まず自分の頭で考えなさい。間違っていたり、もっといい作りに出来るのならば、意見するんやで。」

とか。

私は、良かれと思って彼がもっと上にいけるように、熱心に指導していました。


3. K君の異変

ある日、いつもの様に指導をしていたら、K君は凄く嫌そうな顔をしました。

そのときのK君は、単純に「自分のやっていることは間違っていない」というようなテイストだったので、「それではいつまで経っても今のままだよ」と私は言いました。

しかし、よくよく考えれば、ここは彼が言っている言葉そのものよりも、彼の気持ちを考えてあげなければいけなかったのです。


4. そして休みがちになる

それから間もなく、K君は休みがちになってしまいました。そのときの私は、

「まさか自分のせいではないよな。K君の成長を思って指導してたのに。」

と思っていました。周りの人も、誰も私の指導に問題があるといった人はおらず、誰しもが「もともと休みがちだったから、また嫌になったのかな」という認識でした。

そしてK君は頻繁に休むようになり、やがて私のプロジェクトの業務はこなせないレベルになってしまったので、総務、私の部署の次長、K君、で話し合いがされることになりました。


5. K君にプレッシャーを与えていたのは・・・

総務、私の部署の次長、K君で話し合った末、次は私が次長に召集されました。そして、次長より、K君が休みがちになった理由を告げられました。

次長「K君と話し合いました。 休みがちになった理由は、『僕は会社に来るだけで精一杯なんです。てぃってぃさんが私を成長させようとしてくれるのは分かるんですけど、それがプレッシャーで、働くのがつらくなってしまいました。』と言っていました」

それを聞いて、私は、あぁ、すみません。。となりました。誰しもが出世したいわけじゃない。人によっては、「今の立ち位置のままの仕事がしたい」人だったり、「会社に来るだけで全力」の人だっているんだと。また、そういう気持ちを伝えるのも難しい(意欲がない人と思われるかもしれない)人だっているんだ、って、思いました。

私は「無意識のうちに」パワハラに近いことをしてしまっていたな。と。(最初に紹介した、3要素のうちの最後に抵触しますよね。)

私は次長と話し合いの後、すぐに職場に戻り、K君に謝りました。

「K君の気持ちもわからず、プレッシャーを与えてしまっていて、ごめんね。あと、正直に話してくれてありがとう。」

と、伝えました。


6. 勇気が関係を改善する

K君が「会社に来ることで精一杯」ということを次長に正直に伝えるには勇気が必要だったと思います。でも、それを正直に伝えてくれて、K君には感謝の気持ちでいっぱいですし、以前よりお互いいい関係になったのは間違いないです。K君の勇気が、私を変え、上司部下の関係を良いものにしてくれたのです。


まとめ

繰り返しになりますが、パワハラは何も上下関係を利用した行為にだけ気を付けていればいいのではなく、「相手が働きやすい環境」とは何かを考えて、その人に合わせた行動を取らなければなりません。自分だけでなく相手の考え方も知って、双方でよい関係を築けるようにしましょう。

ご購読、ありがとうございました。